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バージョンアップ間近! Movable TypeのメリットをWordPressと比較してまとめてみる。

身近なCMSといえばWordPressでしょ。うれしい無償提供、開発のための圧倒的な情報、そして豊富なプラグイン。オープンソースならではの三拍子で、他のCMSを考える余地ないよね!
Movable Type? もうすぐバージョンアップされるんだ。
でもプラグインもそんなにないし、できないことが多いでしょ。何よりタダじゃないしなあ...。

※Movable Typeは標準ライセンスで90,000円(税別)。安いとも取れるしタダと比べれば高いとも取れる微妙な価格ですね。

こんな感じのWordPress信仰の人にちょくちょく出会います。もちろんまんまこう言ってるわけではありませんが、絶対こう考えてるよな...というのがよくわかります。
しかし「自分たちのサイト構築用のCMSとしてどちらを選べばいいでしょうか?」と相談された場合、私たちは7:3くらいの割合でMovable Typeをすすめています。企業サイトやメディアサイト(企業オウンドメディア含む)の場合は、特にそうすることが多いです。
実際、企業サイトがMovable Typeでつくられているケースは印象よりもずっと多いなあ、という実感があります。わかるところではわかってる、Movable Typeのメリットとは何でしょうか。

■いろいろなメリットがある「ファイルの静的生成」

WordPressとMovable Typeは何が違うのか。ご存じの方も多いかと思いますが、WordPressはページを動的に生成し、Movable Typeは静的に生成します。これがこの2種類のCMSの最も大きな違いです。
そしてこの静的(スタティック)ページ生成が、Movable Typeの大きなメリットにつながっています。
ページを静的に生成するがゆえに、下のような大きなメリットがあるのです。

(1)セキュリティが高い

Movable Typeの場合、悪意を持った人を含めてユーザーが接触するのは静的ページで、CMS本体はもともとコンテンツと切り離された存在です。つまりシステムの脆弱性を突かれ、不正を働かれる可能性が非常に少ないです。
またMovable Typeはベンダーによる有償CMSですので、もともと脆弱性への対応も確実です。さらに言えばシェアが低いということはわざわざ狙われる可能性も低くなります。これはWindowsよりもMacが安全という理屈と同じです。
よってシステムに接続する際の対策さえ当初からきちんとしておけば、そのままの状態でセキュリティ上の問題が発生することはほぼありません。私たちはMovable Typeによる小中規模のサイトなら、セキュリテイメンテナンスのためのランニングコストはまずお求めしません

一方WordPressはといえば、PHPによる動的ページ生成なので外部からアクセスしやすい。オープンソースなので脆弱性が発見されやすい。そして世の中にWordPressがゴマンとあるのでサイトが狙われやすい...と真逆の三重苦です。
自社で行うにしてもアウトソーシングするにしてもセキュリテイには目を光らせ、アップデートなどのメンテナンスを行う必要があります。もちろん相応のランニングコストは覚悟すべきです。

しかし実際には「もしアップデートで動かなくなったら...と思うとシステムをアップデートできない」という悩みも多いです。プラグインが多く使われている場合、中にはシステムのアップデートに対応していないプラグインがあるかもしれないからです。よってアップデートを避け続け、ついには諦め、しかたなくサーバにWAFなどで強力なセキュリティ設定を施した...という、驚くような例も本当にあります。そうなると多くのよけいな費用が発生してしまいます。

(2)アクセスが多い(または急激なアクセスがある)状態に強い

記事が注目されて一気にアクセスが集中した時も、静的ページのMovable Typeは表示が遅くなったりシステムへの影響が出るなどの障害の可能性はほとんどありません。アクセスが膨大であっても、ロードバランサーやCDNの利用などコンテンツ側の対応だけしておけばほぼ障害は出ません。ここにも運用時のメリットがあります。
月数千万PVを超えるようなもともとアクセスが多いサイト、バズったりポータルサイトで紹介されたりして急激なアクセス増が考えられるサイトの運用には、Movable Typeが向いていると言えます。広告モデルのメディアサイトなどはその代表です。

逆にWordPressの場合、相当しっかりとシステムのチューニングやサーバの最適化をしておかないと、膨大なアクセスやアクセスの集中に対応できません。
技術力の怪しい開発会社や、低コストを売りにするサービスにWordPressでメディアサイトを依頼するのは、やめておいたほうが無難かもです。

(3)静的出力ならではの便利な使い方ができる

Movable Typeは静的ファイルを生成する際に、その出力先を自由に設定することが可能です。この特徴をうまく利用することで、さまざまなケースに対応することができます。
例えば、リニューアルの際に新サイトの出力先を既存サイトに合わせるように設定することで、リダイレクトの設定を行うことなく同じURLを引き継ぐことができます。
(1)や(2)とも関係しますが、出力先をシステムとは異なる領域に設定し別サーバの公開環境に転送することによって、セキュリティや負荷に強いサイトを構築できます。これもこの機能のおかげです。
また少しトリッキーな方法ではありますが、テスト用の環境がない状態でちょっとした変更をサイトのトップページに適用してみたいという場合に、 生成されたトップページ自体はそのままで一時的に出力先を変更して検証用のページを作成→問題なければ出力先を戻してトップページを更新する ということも可能です。場合によってはちょっとした A/B テストにも利用できるかもしれません。

(4)「ウェブサイト」を活用できる

ちょっと静的出力から離れますが、Movable Typeでいう「ウェブサイト」構造の便利さも見逃せません。
ここでいう「ウェブサイト」は一般にいうウェブサイトではなく、ブログの上位にありブログをまとめる概念です。
ウェブサイトはひとつのMovable Typeに複数構築することができますので、あるウェブサイトを作ったらそのバリエーションとして、同じ環境下に別のウェブサイトを構築することができます。新しいサービスサイトを追加したり、新しいメディアサイトを増設したりという拡張をしていくのに便利な構造になっています。

■静的生成のデメリットは

Movable Typeのメリットについて、お伝えしてきました。
「それなら9万円の初期費用も、ランニングコストですぐ償却できるじゃないか」という素直な方もいる一方で、「そんなメリットだけ? 何か隠してない?」と疑り深い方もいるでしょう。
もちろん光あるところには影あり...なので、デメリットもあります。
特に指摘されるのが、記事の投稿などを反映して静的データを出力するために「再構築」というプロセスが必要なことです。記事が増えたりサイト内の連携が多かったりすると、この再構築に相当な時間やサーバ負荷がかかることがあります。それを嫌ってMovable Typeが遠ざけられるケースもあります。

しかしこの再構築に関する負荷や所要時間は、さまざまなカスタマイズによって軽減することができます。技術者の腕と経験の見せどころでもありますので、技術力の高い会社に任せれば大きな問題にならないでしょう。
静的生成のデメリットはここだけ、しかも克服は可能。このように理解していただいてよいと思います。

■プラグインにこだわるのはやめよう

もうひとつ「Movable TypeはWordPressに比べて使えるプラグインが少ないから、やりたいことができないんじゃない?」という声もあります。が、そこは考え方を変えたほうがいい思います。
どんな方法であれ、やりたいことがうまく実現できればよいのであって「プラグインがあるから実現できるぞ」というのは少し違います。

機能の実装にはプラグインしか方法がないわけではありませんし、プラグインを使うことで機能の範囲が制限されてしまうかもしれません。WordPressのプラグインはオープンな反面、開発者の都合で更新されなくなることもままあり、しまいには使えなくなってしまうケースもあります。ですから実際に私たちがWordPressで開発を行う場合もプラグインはなるべく使わず、必要最小限かつ確実なものだけを採用するよう心がけています。

機能実装をプラグインから考えることはせず、運用や将来を考えた最適な実装方法を検討したうえで進めるのが吉です。
そのうえで私たちがいつもお伝えしているのは、「WordPressでできることは、(やり方によって)だいたいMovable Typeでもできるし、その逆も同じ」ということです。


※ちなみにMovable Typeのプラグインは数は少ないですが、ほとんどが正規ベンダーによる開発。WordPressにみられるような心配は少ないといえます。

■バージョンアップにも期待大

517日、久々にMovable Typeがバージョン6から7へとアップされます。
バージョンアップの目玉は、「コンテンツタイプ」という新しい機能によって利便性や利用範囲が広がったこと。コンテンツの形式に合わせた投稿画面を設計でき、さらにData APIとの連携でWEBサイトに限らずアプリや印刷物などまでさまざまなフォーマットにデータを出力できる点です。
コンテンツをワンソースでさまざまなメディアに利用できる強みは、オウンドメディア利用を中心に今後注目されると思われます。お伝えしてきた基本的なメリットともに、Movable Type巻き返しのカギになっていくかもしれません。

以上、セキュリティリスクや負荷に強く拡張性も高いMovable Typeについて、おわかりいただけたでしょうか。
現在はWordPressの陰に隠れて過小評価されているきらいすらありますが、CMSを検討する際には、ぜひ有力候補として入れていただきたいです。

もちろんMovable Typeでのサイト構築・開発の際は、私たちイングスにお気軽にご相談ください。