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LINEクリエイターズスタンプの今がわかる、体当たり登録記

こんにちは、デザイナーのマツダです。

売り上げ上位者の収入が、月に数百万円ということで、ニュースのネタにもなった『LINEクリエイターズスタンプ』。登録クリエイターは、何と5万人を突破したというから驚きです。

私事ですが、実は私のオカンはイラストレーターをしております(いちおうプロです)。で、しばらく前から「クリエーターズスタンプに登録販売して儲けるぞー!」と意気込んでおりました。

そこでシコシコとイラストを描きため、私も手を貸して登録したものの、世の中そんなに甘くなかった...というオチにもならないストーリーなのですが、これからチャレンジしてみよう!とお考えの企業や個人の方の参考になれば、とその顛末をご紹介したいと思います。


■作り始める前に

年齢の割には動きの早いうちのオカン。しかしまず立ちはだかったのは、なかなかに厳しいLINEの制作ガイドラインです。

制作ガイドライン

画像のサイズやフォーマットを守るのはもちろんのこと、

  1. 日常会話で使えるものであること
  2. あまりにも単純なイラストや文字だけのスタンプはNG
  3. スタンプ内の誤字はもちろん、説明文と実物がチグハグなのはNG
  4. 性的表現は全NG
  5. 著作権をほんの少しでも侵害したら即NG
  6. 告知や宣伝に使ってはいけない 酒/たばこを助長するような表現はNG
  7. 差別を助長するものはNG 違法なものを助長するものはNG
  8. パチンコ/競馬などの賭け事を助長するものはNG
  9. 生き物を刺したり切ったり撃ったり残忍な表現はNG

2015年3月19日現在のもの

といった規制がたくさんあります。当たり前と言えば当たり前の項目も多いのですが、「残忍な表現」とか「性的な表現」とかどこまでを指すのか、微妙です。谷岡ヤスジ的鼻血ブーはダメなのでしょうか(古い)。まあ本人が「残忍」とか「性的」に走るわけもないので任せておいたところ、「お母さんの日常」というコンセプトにしたらしく、意気揚々と制作をスタートさせていきました。


■制作、そして登録へ

彼女が取り組んだ、作るべきデータは以下の3パターンです。

  1. "メイン画像"1枚
  2. LINEのトーク画面下に出る"トークルームタブ画像"1枚
  3. 実際のトークで使用される"スタンプ画像"40枚

本人は決して筆が遅い訳ではなく、むしろ早い方なのですが、それでも上のイラストデータを完成させるのに一ヶ月ほどかかっていました。

イラストを直接個人に売るわけですので、企業相手の普段の仕事と違っていろいろ迷ったり試行錯誤をしたようです。スタンプ40枚というバリエーションを作るのも、なかなかに骨が折れたようです。

そして出来上がったのが、こちらのようなイラストです。

mom.png

いかがでしょうか。私は肉親だけに、コメントは控えさえていただきます。。


■承認までの長い日々

しかし、本当に長かったのはここからでした。

審査の結果は「承認」 、「リジェクト」(やり直して再申請可) 、「却下」(やり直しもできない)の三種類なのですが、最悪でも「却下」は避けたいところ。

しかし...。

申請(2014年8月2日ごろ)

承認待ちステータス:審査待ち(2014年8月2日ごろから約1ヶ月)

承認待ちステータス:審査中(2014年9月2日ごろから約6ヶ月)

承認待ちステータス:承認(2015年3月2日ごろ)

申請から年をまたいでおよそ7ヶ月...。結果もわからないままスルーされてしまったのか?と最初は心配していましたが、その後、うっかりすると作ったことすら忘れてしまうほど長い期間でした。

そんな中、ようやく「承認」のメールが来たのはなぜか深夜0時過ぎでした。爆睡していた私はオカンに無理矢理起こされ、設定をさせられ販売開始ボタンを押したのをおぼろげに覚えております。


■で、どのくらい売れたのか?

やってみてはじめてわかったのですが、LINEスタンプの売上レポートには、売上数やダウンロード数などの表示がありません。したがって、実際に何個のスタンプが売れたかははっきりとは分かりません。分配金額から推測するわけです。

で、いくら売れたかって?

う〜ん。我が家の名誉のために、はっきりした金額は控えさせていただきます。。が、親戚一同など身内で買ってもらったものを差し引くと、文字通り微々たる数ではないかと思われます。

身内以外で全然売れなかったというわけではなく、ぽつりぽつりと売れてはいます。が、なぜかダウンロードされた地域が日本でなく、タイからだったりするのが謎です(なぜか地域はわかるようになっています)。

ちなみに分配金ですが、2015年2月1日申請分のスタンプより、クリエイター収益の分配率が売上の50%から35%に変わりました。従来LINE側で負担していたApp Store、Google Playへの手数料30%を、売上総額から除いて収益分配するよう変更したという触れ込みです。

そして問題の審査期間ですが、分配率変更と同じ日付のLINEからのお知らせでこう書かれています。

クリエイターの皆さまから多くのご要望を頂いている「審査期間の短縮化」については、最優先の課題として対応しております。具体的には、審査スタッフを大幅拡充し、審査体制のスピードアップに取り組んでいるほか、大量のスタンプ登録データを迅速に処理できるようシステム面の改修を行っています。早ければ2015年2月前後にシステム改善が完了し、販売開始までの期間が大幅に短縮化される見込みですので、今しばらくお待ちください。


LINE CREATORS MAGAZINE 2014年12月26日

とりあえす信じるしかないか、という感じですね。


■ クリエイターズスタンプに参加する価値ってあるの?

体験談はここまで。要するに儲けるどころか全然元取れてません。そうすると結局「参加する価値ってあるのか?」という疑問になりますよね。

それについては、ここに否定的な見解がバッチリまとまっています。NAVERまとめで作られているのがまたブラックです。

既に遅い?売れない!LINEクリエイターズスタンプは儲からない?!

一部引用しますと、

スタンプが1つ売れただけでランキング5000位になりました。これは嬉しいことかと思いきや、よく考えてみると現在4万個発売されていて、そのうち3万5000個のスタンプが1つも売れていないという事実でもあります。

現在既に40000個のLINEスタンプが販売されており、客は分散され全然儲からない市場になってしまった。

400個→40000個

100円で販売し、その半分がLINE側に引かれ残りの50円が売上金になります。そして一万円以上売り上げなければ振込申請することはできません。つまり200セット以上売らないと振り込み申請すらできません。

そもそもスタンプを申請しても全然承認されない。承認されなければ売ることすらできない。7ヶ月待ちという強者も結構いるみたいです。
と否定のオンパレード。

最後はまんまウチですね。読んでいるうちに凹んできました(^_^;)。

しかし「参加する価値があるかどうか?」というと、「どれだけ競争相手がいようとも、ターゲットを定め、その人たちが絶対的な面白さを持って使えるスタンプを提供できればヒットする」というのが真実ではないでしょうか。

エラそうなこと言って恐縮ですが、「使えて面白い」ことだけがスタンプの価値だと思います(「キャラクターがキモカワイイ」とかいうのは、そのための手段)。

なので、別に確率がどうこうという問題ではないかと。相手が多いだけで、ある意味とてもシンプルで潔い競争環境になっています。特にLINEの肩をもつわけではありませんけど。

ちょっと儲かるかも、くらいの気持ちでやってもダメなのはハッキリしましたが、「飛び抜けて面白いものしか売れなくなっただけ」と割り切ることができる人、自分のアイデアに自信のある人は、どんどんチャレンジすればいいと思った次第です。