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「売らないモール」というビジネスモデルはどうだろうか?

プロデューサーの岩田です。
このブログのタイトルにもなっている神保町は、出版社や古本屋が多い「本の街」であることは広く知られるところです。
しかし他にも専門店が多く集まってまして、「スキー・スノボの街」でもあり「登山の街」でもあり「カレーの街」でもあり...。なかなか楽しいところなので、おいおい紹介させていただきます。
が、もうひとつ「楽器の街」であることも忘れちゃいけません。楽器に興味のない方はなじみがないかもしれませんが、ギターやキーボード、ドラムなどはもとより、ヴァイオリンなどクラシックの楽器までいろいろな楽器を扱う店が集まっています。

商品検索して店を探すだけのモール


そこで思い出すのが、数年前私がエレキギターを中心とした楽器物欲の蟻地獄にはまった際、お世話になったこちらのサイト。
楽器や機材をよく買う人なら、必ずといっていいほどお世話になるサイトです。

◎デジマート
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ここには全国の楽器店が登録していて、あらゆる楽器を検索することができます。欲しい楽器があればものすごく細かいところまで指定して各店の在庫を表示してくれます。欲しいものがほぼ何でも見つかってしまう、物欲バカには嬉しくて恐ろしいサイトです。
最近カートと決済の機能がついて実質楽器専門のモールになりましたが、私が愛用していた頃は在庫情報だけを提供する、その場で売らないモールというか、マーケットプレイスというか...そんなサービスでした。
お店は登録商品数に応じた月額固定掲載料だけ払い、ユーザーは気に入った商品を見つけたら勝手に直接に連絡してね、というユルいものでした。私もよくここで欲しい楽器を見つけて、神保町界隈の楽器屋に出かけて試し、買うこともあれば、試すだけ試してもっと安い店で買ったりしていました(すいません)。

楽器店は小規模なところも多くて、目立たない雑居ビルやマンションの一室にあったり店舗すらなかったりします。そういう店は、ビンテージや中古専門だったり、ギターアンプ専門とかエフェクター中心とかジャンルを絞って特徴を出しています。

一方、楽器好きのユーザーはこだわりが強いので、ものすごい種類のジャンルや商品名から製造年、状態などを細かく検索して気に入った楽器を探します。検索結果はお店の大小に関係なく平等に出ます。

ユーザーはこだわりつつ商品を買うので、必ずしもモールのようにホイホイ買ってすぐ発送、を求めてはいません。特に中古楽器などは、お店に電話して状態をしっかり確かめることが不可欠なので、情報さえわかればいいのです。そのかわり商品検索だけは細かいところまで指定ししっかり検索できるようになっており、普通のモールの検索とはまったく違います。

◎「エレキギター」のカテゴリだけでこんなに細かく検索できます
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どんな商品が向いているか


モール導入前の店の負担は、当時商品掲載数に応じて月1万円とか、高くても3万円とかの固定額。高い出店料や売上げに応じた課金を心配することなく(現在はわかりません)、ユーザーは全国津々浦々から欲しいものを探せる。主催者はモールと比べて初期投資や維持費用が少なくすんでみな万歳、というわけでした。
こういう三方良しの近江商人的ビジネスモデル、楽器機材の他にも成り立つのではないでしょうか?

・ジャンルが多く、さらにそのなかでもカテゴリが細分化されて詳細な検索が必要なこと
・マニアが地域問わず探しまわるものである
・店の数が多く、小規模なことがが多い
・中古品や輸入品など一点ものが多い
などがポイントになりそうです。

もうひとつ大事なのが ・マーケットは、はたから見れば「それほどなあ」という規模であること。後から大手がさらっていく心配が少ないからです。
ちなみに「デジマート」は「369店参加」とあるので、価格設定から主催者側の月額売上げがだいたい推測できます。おそらく当時は出展料やオプションで月間1000万円前後だったのではないでしょうか。これくらいなら、わざわざあとから参入して来る会社は少なそう。
自転車のパーツとか、ヴィンテージの古着とか時計とか、どうでしょう?探せばほかにも出てきそうです。

こちらはよく似たしくみのサイトです。システムを含むサイトフルリニューアルをイングスが担当しました。BtoBなので、昔よく話題になったeマーケットプレイスという分類に入ります。↓

中古機械情報百貨店

部品生産用などの中古機械を、売りたい会社と買いたい会社でマッチングするサイトです。地味ですが、ビジネスモデルとしてしっかり成立しています。