プロデューサーかつイングス代表の岩田です。
先日、トヨタ自動車が在宅勤務制度の拡大に取り組むというニュースが話題になりました。
これが大きなニュースになってるのは、どうも在宅勤務が言われるほど普及していないためのようです。
こんなデータがありました。

国土交通省 テレワーク人口実態調査

全労働者数に占める、週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカーの割合
2013年 : 4.5%
2014年 : 3.9%
2015年 : 2.7%

3%もないし、普及どころか年々減ってるじゃん!
トヨタに期待してるのは、誰よりもきっと政府だ。

国の調査結果には間違いなく影響ありませんが、実はイングスでも在宅ワークの導入に向けて準備を始めています。
準備なんて、超巨大組織のトヨタがやるのと違ってお手軽にできるんじゃないの?と言われそうですが、そう言うなかれ。小さな会社には小さな会社の事情があるのです。
人数が少ないだけにひとりひとりの責任や守備範囲は広いですからね。

勤続年数が長いメンバーが多いわが社では結婚はもちろん、小さな子供がいる家庭も多いです。少子化問題が叫ばれるなか、実に感心な社員たちであります。
そんな彼ら(彼女ら)にとって、家庭と仕事の両立は当分のあいだ大きなテーマです。もちろん独身の社員であっても、おいおい介護問題なども出てくるかもしれません。

そこで、WEB制作会社たるもの、在宅ワークの導入がどれくらい負担の軽減や生活の充実につながるか試してみよう!という立派なこころざしで、今回はエンジニアの丸永がテストで在宅ワークを体験。その結果を踏まえて導入方法を検討することにしました。
丸永は最近パパになったばかりの男性スタッフ。わりかしクールっぽさを醸し出してますが、意外にイクメン的な側面をもっているようで、この試みにかなり乗り気なようです。

    
まずはトライするにあたっての基本ルールを考えました。

●頻度をどうするか
まずはテストということで、週1回に決めました。

●勤務時間帯をどうするか
ほとんど規定はなし。離席したらその時間帯を書けとか、机に縛り付ける決まりはいっさい作らず「夜中は除いて、まあ8時間程度働いてね」というだけ。
ここでむやみに時間を縛ったらあんまり意味ないし。必要なときに子供の面倒見たりできるのが在宅ワークのいいところですからね。

●連絡方法をどうするか
メール、チャット、RedmineやSlackなど今どきは連絡の手段はいくらでもあります。メール中心にいつも使っているツールで適当にやってみよう。これもアバウトな取り決めにしました。

●環境や業務データをどうするか
自宅の環境は自分で作ること。金なら出せん!(笑)
ただしセキュリティは細心に。会社のデータは持ち出さすVPNを使ってファイルサーバにアクセス。

●業務管理をどうするか
通常入力している業務管理システムはそのまま入力。業務開始時には開始のお知らせと本日の業務予定をメールで報告。
業務終了時には業務予定をどれくらい達成したか(できなかったか)、あるいはそれ以上の達成があったかなどの結果をメールで報告。以上です。

テストなのでルールは少なく、とにかくやってみることにしました。
あとは任せたぞ!

そして…





という間に3週間が経過しました。
この3週間で3日間、つまり週1ペースで在宅ワーク体験が終わった丸永にインタビューしてみました。

ー体験してみて一番の感想はどう?

いちばん感じたのは、会社までの移動時間や出社のための準備が必要なくなって、すごく楽だったことですね。

ーうちはラッシュに無縁な気もするが(笑)、それでもやっぱり違うよね。

仕事に取り掛かるまでの時間か、大幅に短縮されましたね。

ーどんな環境でやってたの?

僕の場合は、Mac のノート 1 台で外部モニターなし、マウスもなしです(ホントかい)。
コーディング業務なのである程度対応はできましたが、デザインなど細部に気を配らなくてはならない作業では、もう少し揃える必要があるかもしれませんね。

ー自分の仕事部屋ってあるの?

自分の場合は居間にある、座って使う文机にノートPCを置いただけです。

ー文机かよ!腰痛くなんないの?

岩田さんと違って若いですから。座椅子は使ってますよ。

ーちっ。気をつけたところはどこ?

SSH や SFTP の秘密鍵など自分のPCにインストールするのはセキュリティ上好ましくなく思われたので、必要な時にはリモートデスクトップ経由で社内の PC を遠隔操作するという方法をとりました。
Mac であれば どこでも My Mac を使用するのがよさそうですが、Windows の場合は TeamViewer などを検討してもいいかもしれません。
ただ動作はかなりもっさりしてますので、全ての作業をこれでこなすのは無理でしょうね。

    

“文机とMac"

ずいぶんレトロな文机とMacBookPro。以上が作業環境のすべてだとか

ーその他には何か工夫した?

普段から作業に必要なデータをバージョン管理システムで管理するようにしてますので、作業開始時の準備と作業完了後のデータ更新がスムーズにいきました。
それと、作業に必要な環境構築を自動化するようにしてますので、必要になった時に必要な環境を準備できます。仮想マシンや、MySQL の Dump ファイルからの復元などですね。
ちなみにライセンスなどの縛りのないオープンソースソフトウェアを使用することで、環境構築のハードルを下げています。
それでも在宅ワークのためのデータの準備は発生しますから、こまごました複数の案件をこなすよりは、当日作業する案件を絞るなどの工夫が必要かなと思いました。

ーコミュニケーション面ではどうだった?

実務面での相談については、相談をする側・される側それぞれの立場での工夫が必要かもしれないですね。
例えば、相談したい課題があったら小さく分割して箇条書きにするとか。意見がほしい時は、自分ではどのように解決しようとしているのかを明らかにした上で意見を求めるとか。
テキストベースのコミュニケーションの中で、返事をを返しやすい工夫をした方がいいんじゃないかと。
漠然とした状態で意見がほしいという場合は、在宅ワークの日を避けた方が良いかもしれませんね。

ー確かにニュアンス的なものは、対面じゃないと伝わりにくいよね。最後に、なんでもいいから感想を聞かせてよ。

生まれたばかりだし、子供の顔を見ながら仕事ができるのはやっぱりありがたかったですね。
とはいってもそれで効率が悪くなるということもなく、いつもに近い生産性で仕事することができたと思います。
作業中は集中力を欠くことなく、業務にあたっていましたよ。家族からは、もう少し休憩とってもいいのでは? と言われました。これって性格でしょうか。(自画自賛かよ)
集中力は変わらないですが、作業環境で腰が痛い、目がしょぼしょぼする。。などの不調が多少あったので(やっぱりあるじゃん)、快適に仕事するためにいろいろ環境を整えたいところが出てくるかもしれません。
会社として整備していただけないでしょうか?(それは無理)
いろいろな課題を解決するためには、個々の環境によるところもあるかと思いますが、テクニックや知識を持っておくことは必要ではないかと。。
特に会社全体で実施することになったら、知見を共有しておくことが大切と思いました。

    
ふむふむ。
さすが制作スタッフのリーダーでもある丸永です。
非常にそつなく、スムーズに在宅ワークをこなしたようですし、お子さんとふれあいながらの仕事も充実した時間だったようです。よかったね。

    
思うに、在宅ワークを導入するにあたって本当に必要な大切なものとは何か。
何を隠そう、それは「会社と個人の信頼」です。(きっぱり)

なぜ日本でなかなか在宅ワークが普及しないか。
それは「信頼」よりも「そこにいないことの不安」が上回るからです。
会社側は「この時間に彼は本当に仕事をしてるのか」とか「ちゃんと集中していつも通り仕事をしてるのか」と考える。
そしてその不安を解消するために、ルールや環境をつくらなきゃ…と考える。
とめどなく課題はひろがって、めんどくさくなったり費用が掛かりすぎたりして頓挫。
というのが実態ではないかと。
一方で社員は「ちゃんと集中してやってるのに、半分遊んでるって疑われてるんじゃ?」などと思ったら、うまくいかないことは明らかですね。

なので私たちとしては、

・メンバーと会社の信頼を作る(もちろんメンバー間も)
・信頼するんだからできるだけルールで縛らず任せる
・信頼されたほうはそれに結果で応える

このサイクルをめざそうと思います。