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東急電鉄は何と言えばよかったか

東急電鉄の電車内での化粧をマナー違反とするCMが批判と共感を同時に浴びて話題となってます。自分はまったく同感しましたが、特に若い女性からの反発が強いらしい。
どこがというと、CMのなかの「みっともない」という表現がカチンと来た模様。「そんなこといわれたくない」「ほかのことでみっともないことしてる奴(オッサン)はいくらでもいるじゃないか」という言い分ですね。

テレビ番組が街角アンケートをとったところ、驚いたことに2〜30代の女性の約半数は「電車での化粧はみっともない」にNOだそうです。へえ〜。私の感覚ではどう考えてもみっともないがな...。

さてこの問題をマーケティング的に(笑)結論づけますと、マナー違反を指摘する言葉として「みっともない」という表現を使ったことに誤算があったと思います。「みっともない」は主観(自分)としての表現であって、「私は化粧がみっともないなんて思わないわよ、フン」という逆の主観が、これだけ自由になんでもできるようになった社会には必ずあるわけです。それから「ほかにもみっともないことがいっぱいあるじゃん」というすり替えもできてしまいます。

ではどうしたらいいかというと、「みっともない」ではなくて「失礼である」と言えばよかった。
「失礼」=「みっともないこと」だから限りなく近いんですが、「礼を失している」は主観ではなく、他者の目から見たときの状態。他者から見ると「公共の場で」「極めてプライベートな化粧という作業を」「あたかも自分の家でもあるかのように」「周りに他人がいるのに虫けらのように無視して」やっていることが、礼を失しているのでなくて何でありましょう?というような、畳み掛けるアプローチ。これを優秀なCMディレクターが軽妙に表現してくれたらよかったなあ。

たとえすべての人が失礼と感じなくても、何人かが感じてたらそれはアウトなわけです。
要は主観による相対悪から客観的な絶対悪にしてしまえばよかったわけ(悪とか書くとヤバそうだけど他に思いつかない)。
もし「そんなのが失礼なんて、私思ってないもーん!」と言ったら、ただの礼を知らぬヤツ、ということになってしまいます。


<おまけ>
これ書いてて、通っているスポーツジムのドライヤーでよくワキ毛を乾かしているオッサンを思い出しました。「汚いじゃん!」って責めて、「ワキ毛に当ててるわけじゃないから汚くないわいオラ!」と反論されたら一瞬詰まりますよね(笑)。
やっぱりここも「みんなが使うものなのに失礼だろ!」が正解だな。