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仮説 「コンペは、日本経済のデフレを助長する」

新年あけましておめでとうございます。

プランナー菊地です。

年末に断捨離を断行しました。
ダンボール2箱分の企画書を、シュレッターへ。ガリガリガリガリ......。しかし、イザ捨てるとなると、ヒジョーに名残惜しいものです。ひとつひとつの企画書は、僕にとってはお腹を痛めた我が子のような存在ですから。実現した企画、書きかけで頓挫した企画、「企画はよかったんですけど...」と褒められながらも、デビューできなかった企画もありました。ページをめくり、思い出に浸りたい衝動をぐっと抑え、バッサリお別れしました。まぁ、いつか使うかも...と残しておいても、二度と使うことはないですからね。スッキリしました。

で、断捨離をしながら、ふと考えてみました。
WEB制作会社につきものの、コンペについて。
巷には、コンペと聞くとやたら熱くなる人いるんですよね。特に、ちょっと昔の広告会社の人(あ、我が社の社長もそのひとりでした)。「コンペが決まったぞ~!」「今夜は徹夜だ~!」「プレゼンだ~!」なんてね(笑)。しかし、今日の本題は、笑い話ではすまされません。

「コンペは、日本経済のデフレを助長する」が、僕の立てた仮説です。ちょっと大きな視点で考えると、コンペは日本経済を縮小させているのではないかと考えるのです。

先日も、こんなことがありました。某大手企業のコンペに参加したのですが、勝負の分かれ目は、ユニークなデザインとUIの提案がポイントとのこと。そりゃ、がんばりましたよ、脳みそに汗かきながら。デザイナーも土日返上、夜なべして仕上げてくれました。そして、結果、我が社は勝ちを収めました。ところが、です。正式に受注となって最初の打ち合わせのとき、先方の担当者に聞いてみたのです。「弊社を選ばれた決め手はどこだったんですか?」

「一番安いから御社に決めたんですよ」

あれあれ、企画コンペだったんですよね? 先に言ってよぉ~。
努めて、頭クールに、笑うしかないです。しかし、こうした後日談はめずらしくありません。

予算があるのは重々承知しています。外注費を削減したことで、その担当者の社内での評価は上がるのかもしれません。全社で外注費削減に取り組めば、利益率が向上するかもしれません。しかししかし、よ~く考えてみてください。安く発注したということは、言い換えれば、対価であるサービスやモノの価格を下げたということです。物価が下がれば、市場にお金は回りません。で、市場にお金が回らなければ、それだけ貨幣価値は上がり、またまた物価は下がります。これぞ、デフレスパイラルです。

そうした外注費削減を、日本中の企業が行っていたら、どうなるでしょう。皆が我が企業の業績を少しでもよくしようと、コストカットという努力をしているにもかかわらず、物価は下がり続け、売れども売れども、売上高は伸びない。結局、企業業績は伸び悩み、給与も上がらず、働くモチベーションもダウン......。想像するだけでも、お先真っ暗ですね、日本経済。

まぁ、アベノミクスは、こうした景気の悪循環に、メスを入れようとしているのですから、手法はともかく期待しましょう。で、ひとつ、提案。いっそ、国や地方自治体から、入札制度や企画競争を中止してくれませんかね。税を適正に使うという趣旨は理解しますが、多くの場合、やってることはただの価格競争なんですから。たとえば、コンペ廃止法案とか、作ってくれないかなぁ(笑)

まとめ

世の中を変えるのは大変なことです。ですが、自分たちの行動は変えられます。すべてのコンペを否定するものではありません。きちんと企画で判断していただけるコンペは、力だめしの絶好の舞台です。ですから、そうした場に立てるよう、愚直に日々、僕たちは個々の能力、チーム力を磨いていこうと思います。

ただし、我らがイングスは総勢十数名の小さなチームですから、コンペに熱を上げるがあまり、すでに信頼して制作を委託してくださったお客様の仕事をないがしろにするわけにはいきません。ですので、コンペに参加するか否かも、慎重に判断して、時にお断りすることもあります。その点、ご了承くださいませ。その代わり、参加する際は、脳みそに全力で汗かいて提案しますよ。よろしくお願いします。

(菊地)