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これまでいろいろな業種のWEB制作を行い、担当者からいろいろなWEBサイト用の原稿を受け取ってきました。時には前任のWEB制作会社が作った原稿も受け取りました。
「ありがとうございます、じゃこれ使います!」
いや...。実際はそのまま使える原稿はほとんどありません。
文章は誰でも書けますが、他人に読ませるための文章を書くことに慣れている人はあまり多くありません。
しかし今や企業のWEB担当には、一定レベルのWEBライティング力が必須です。今回は「自社製品やサービスをしっかり理解していただく説得力ある文章」を書くためのポイントをご紹介します。
■なぜ説得力ある文章が書けないのか
それはおおむね
- 計画性がなく散漫に書いている
- 文章の作りかたや表現方法によってわかりにくくなったり、説得力を失っている
この二点によります。
これを解消するために、以下の4つのポイントに絞ってみました。
- 全体の構成を決めてから書く
- 正しい論旨展開で書く
- 読みやすい文章を心がける
- 説得力を高める
それでは、ひとつずつ確認していきましょう。
■全体の構成を決めてから書く
製品やサービスを紹介するライティングでは、頭を整理して全体の構成をしっかり作っておく必要があります。
例えばこのようなものです。
- 導入(読み手の共感をよぶ語りかけ)
- 見込み客が抱える問題点
- 製品(サービス)の詳細
- 製品(サービス)によってどう問題が解決されるか
- 問題が解決されたという根拠
- まとめ
私たちがお客様に原稿を依頼する場合は、このような文章構成を提示するようにしています。
外部に頼らず自分ですべて書く場合も、このような感じで製品紹介の構成をあらかじめ決めておくことで、文章に説得力を持たせることができます。
■正しい論旨展開で書く
当たり前のようで実はできていないことが多いのがこれ。資料や取材メモをもとになんとなく書いていると、論旨展開がおかしな文章になってしまい、しかもそれに気づかないことがままあります。実際にあった例で見てみましょう。
例文
当社は優れた商品をリーズナブルな価格で提供しながら、トータルオフィスコーディネイトの思想に基づいた専門家による質の高い提案を行っています。オフィス商品販売の理想的なスタイルを追求してきたことで生まれた、ユーザーが安心して買い求めることのできる商品ラインアップは他の追随を許しません。
立派なことを言ってるようで、どこか腹落ちしないおかしな感じが漂います。
「専門家によって質の高い提案を行う」スタイルの結果がいきなり「安心して買い求めることのできる商品ラインアップ」というのは論旨展開が合わないからです。さらになぜか最初の「優れた商品をリーズナブルな価格で提供」の意味合いに戻ってしまっています。それを言いたい気持ちはわかるが、一体どちらが先なのか。よくある"堂々めぐりタイプ"の文章です。
こちらが修正例です。
オフィス商品販売の理想的なスタイルを追求してきた結果、ユーザーに与える安心感と満足感は他の追随を許しません。
このように正しい論旨展開をしなければなりません。
論旨展開のずれは、文章の苦手な人がカッコよく書こうとしてよくやりがちな失敗で、かつその違和感に気づかないことが少なくありません。
対策としては、とにかくよく推敲すること。できれば少し時間をおき、繰り返し読んで推敲していくことが大事です。
■読みやすい文章を心がける
製品やサービスを思うあまりか、つい惹きの表現をてんこ盛りにしてしまいがちです。そうすることで行き先の見えない読みづらい文章が延々と続いてしまいます。
例文
幅広い品揃えの優れた商品を魅力的に展示し、オフィスづくりのヒントを発信するショールームの存在は国内で群を抜いています。
途中で読むのがイヤになります...。
「幅広い品揃えの優れた商品を魅力的に展示し、オフィスづくりのヒントを発信する」までのすべてが「ショールーム」の惹きとして前に置かれています。
ショールームの存在は国内で群を抜いています。ここでは幅広い品揃えの優れた商品を魅力的に展示し、オフィスづくりのヒントを発信しています。
とするだけでずいぶん読みやすくなります。
■説得力を高める
しかし「幅広い品揃えの優れた商品を魅力的に展示」という表現は、しつこいわりに説得力がいまひとつです。
そもそも「品揃え」されている「商品」は言葉が被っています。また「魅力的に展示」するのはショールームでは当たり前ですし、「魅力的」には具体性がありません。
こちらの修正例です。
ショールームの存在は国内で群を抜いています。ここでは◯品目を超える国内外の優良な商品を展示し、オフィスづくりのヒントを発信しています。
と、ムダな表現を削りつつ数字などで具体性を持たせれば、説得力がグンと高まります。
■要は読み手の立場で書く
4つのポイントを説明してきましたが、つまるところは「どうしたら読み手の頭にわかりやすく、印象深くイメージが伝わるか」を考えながら書くのが大事です。
そして多くの場合、「書かなくても伝わることはわざわざ書かない」ほうが効果的です。読み手は書き手が思っているよりずっと賢いので、直接書いてない言葉であっても頭の中でちゃんと補っています。「魅力的に展示されたショールーム」がムダなのはそういうことです。
私もついクドクドと書きがちなので、読み返してはせっせとムダな表現を削っています。
■最後に
企業のWEB担当者の皆さんは、サイトリニューアルや改修の際のライティングをどうしておられますか。コピーライターに依頼、WEB制作会社に依頼、あるいは「原稿はご支給でお願いします」と言われて自分で必死に書いている...。いろいろなケースがあるでしょう。
「原稿ご支給」は、制作会社にとってある意味非常に気楽な展開です。WEB制作会社も文章が下手なところはとことん下手ですし、商品知識習得の手間と文責も回避できるからです。
逆に「支給原稿もきちんとリライトします」と宣言する制作会社は、それだけの自信と手間やリスクをいとわない気概を持って取り組もうとしています。そこのところ、大事だと思います。
<プロデューサー 岩田亮二>
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