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WordPressの弱点をカバーする専用サーバを探す

こんにちは。プロデューサーの岩田です。

今日は時々ご質問をいただく「WordPressで中小規模のサイトやブログを立ち上げたいんだけど、どんなサーバが適しているんでしょう」という声に対して、WordPress構築専用をうたったレンタルサーバorクラウドの選択肢を考えてみたいと思います。

最初にお断りしておきますが、この記事、誓ってアフィリではありません。だから以前、WordPress狙った大量の乗っ取りにあった某格安サーバを取り上げるのもしません(笑)。各サービスへのリンクもすべてサービスのトップページ直リンクです。「WordPress専用」と称されたサービスをまだ利用していませんので、今後のためにまじめに調査してみました。

さて、WordPress専用とするからには、それをカバーするものでなければいけないので、まずWordPressの性格というか、いわゆる弱点のようなものを整理してみます。

表示スピードについて

WordPressは標準ではコンテンツを動的生成しますので、MovableTypeのように静的なページを表示するよりもサーバに負荷がかかります。サーバやシステムに何のチューニングをしないままアクセスが増えると、表示スピードの遅さがはっきりしてきます。

世の中では月間ウン千万PV、1億PVといったメガサイトでもCMSにWordPressが使われているケースがありますが、システムとサーバはしっかりチューニングされています。

データ保全とテスト環境について

本番サイトを作っただけの状態にしておくと、DB内のデータが飛んだらそれで終了です。ビジネス利用なら、バックアップを取ることが必須です。

またサイトの価値が高まるほどに、テストサーバで記事の事前チェックをしたいというニーズが高くなるはずですから、そこも考慮に入れたいと思います。

複数サイト立ち上げについて

複数サイトを立ち上げたいというニーズは多いと思いますが、WordPressは1ドメインにつき1システムが基本。なので通常別ドメインのサイトを追加するたびWordPressを新しくインストールする必要があります。複数ドメイン対応はもちろん、インストールやバックアップの手間ができるだけかからない仕組みになっているものがいいですね。

セキュリティ対策

最後になりましたがやっぱりこれが一番大きいです。WordPressのサイトはたくさんあるだけに、一斉に狙われやすいです。またセキュリティホールも頻繁に見つかりますので、システムのアップデートに備える必要がありますが、これがなかなかやっかいなのです。

以上ですが、あとは当然価格がポイントになるでしょう。それでは、チェックしていきます。

今回調べたのは

WPXレンタルサーバー

WPXクラウド

Sova WP

GMO WP Cloud

の4つのサービスです。

※繰り返しますがアフィリじゃないです。どこからも謝礼は出てません。

01.png(1)WPXレンタルサーバー

最初はこれ。Xサーバーが提供するWordPress専用サーバサービスです。

サービスサイト

◎表示スピード

「リバースプロキシによるキャッシュ」「最新の高性能サーバーマシン」「1Gbps接続の国内高速ネットワーク」と、WordPress向けの高速化を図ったことを強調。しかし後ろの二つは、言ったもん勝ちですのであんまりね...。

「リバースプロキシ」はアクセスしたユーザに、保存されているキャッシュを優先して表示しますので、特にコンテンツを動的生成するWordPressの場合、負荷の軽減にかなり役立つと思われます。

データ保全とテスト環境

自動バックアップ、手動バックアップともにコントロールパネルから簡単に設定できそうです。自動バックアップでは14日間分のバックアップを自動でとってくれるそう。

一方、サイトのデータを簡単にコピーする機能はないので、テスト環境を準備するのはそれなりに手間がかかりそうです。

複数サイト立ち上げ

独自ドメイン10個(WordPressも10)まで設置可能です。新規インストールもコントロールパネルから可能なので簡単に行けそうです。

セキュリティ対策

「ダッシュボードへの不正ログイン防止機能」「セキュリティを重視したPHPの環境設定」などが標準で実装されているようです。これらの機能は、普通のホスティング環境だと自分で設定しておくのが必須なので、それが省ける点ではWordPress専用とうたっていい機能です。

さらにもうひとつ重要なセキュリティ対策の、WordPressのアップデート。これもコンパネから簡単にできるようです。

ただ、管理者の一番の悩みはアップデート後のサイトの動作です。影響がこわくてアップデートできない...というユーザーが多いのが、WordPressの実際のところの大きな弱点かと。

このサービスでは、バージョンアップをするかどうかは各ユーザーの判断で、当然動作もユーザーまかせという点、ちょっと踏み込んでない感があって残念であります。

価格は、100GB容量で1000円/月から(12ヶ月契約)です。

02.png(2)WPXクラウド

上記「WPXレンタルサーバー」のクラウド版です。

サービスサイト

1契約1サイトが決まりなので「複数サイト立ち上げ」機能はなく、増やしたい場合はまた新しく契約しなければなりません。その他の機能は同じですが、クラウドなのでサイト規模に応じてスペックを変更できます。

ひとつのサイトを育てていきたい場合は、こちらのほうが向いていそうですね。

価格は10GB容量で500円/月からなので、手軽にスタートできます。

03.png(3)Sova WP


次はシンガポールの企業が提供しているこのサービスです。

サイトの情報量少なめなので、サポートページなどもチェックしました。

サービスサイト

◎表示スピード

「WordPressに特化したチューニングで高速・安定」「アクセスを高速化するCDN機能」だそうです。

「アクセス急増時にはスケールアップするブースト機能」というのはユニーク。記事がバズったとなどに活用できそうです。ただし500円/24時間のオプションです。

◎データ保全やテスト環境

7日間分の自動バックアップ機能付き。テスト環境に有効なコピー機能等は見当たらず。

◎複数サイト立ち上げ

ドメインは無制限(有料プランの場合)とありますが、WordPressのマルチサイト機能を使うみたいなので、独自ドメインはひとつしか使えないのでしょう。サイトの追加はサブドメインかサブディレクトリで、ということになります。

◎セキュリティ対策

WordPressに最適化したファイアウオールは、Dos攻撃やブルートフォース(総当たり)アタックなどから遮断するしくみ。「WordPress 専用セキュリティツールによる脆弱性スキャンも定期的に実行」とのことで、基本的なサーバ環境としては安心できます。

セキュリティではないですが、24時間/365日のモニタリングを強調しています(シンガポールの人か?人件費高いからたぶん違いますね)。この価格帯のサービスとしては珍しく、サーバダウン時にはアラート通知と自動リブートまでしてくれるようなので、その点では安心感があります。

価格は1,980円/月からとちょい高めですが、フリープランがあるみたいなので、そちらで試してから導入すればいいでしょう。小規模サイトならフリープランのままでも行けるかもしれません。

ただしこのサービスはシンガポールの会社のものみたいなので、突然仕様変更...などのリスクを想像してしまうのは私だけでしょうか(もちろん日本代理店は入ってます)。

04.png(4)GMO WP Cloud

最後はおなじみすぎるGMOグループのWordPress用クラウドです。

サービスサイト

◎表示スピード

「超高速フラッシュストレージFusion-io ioDrive」を使用したWordPress専用設計。。だそうで、SSDと比較して5~7倍のパフォーマンスを発揮するとのことです。どのくらいの体感か試してみたいです。

トラフィック増に応じて、オートスケールでリソースを追加するしくみもあるようです。

◎データ保全やテスト環境

バックアップは自動で14日間分保存。

そしてこれが一番の売りではないかと思いますが、サイトのコピー機能があるだけでなく、本番サイトに対してステージング(テスト)サイトが用意されます。テスト環境がなく、プレビューで確認するしかなかったことが悩みだったWordPressユーザーには非常にありがたい機能です。

ステージングサイトから本番サーバへは、コンパネからコピー指定。しかも、サイト全体でも一部でも指定できます。本番からステージングへ逆にコピーすることも可能なようです。これはイイ。

◎複数サイト立ち上げ

標準はサイトひとつだけ(そりゃクラウドですから)。オプションで一個当たり月100円で追加可能です。それぞれに独自ドメイン設定可能です。

◎セキュリティ対策

あんまり記載がないのですが、WPに特化したクラウドですから、それなりの対策を取っているでしょう。しかしひとつ特筆すべきは、

> GMO WP Cloudでは、WordPressを常に安全な状態でご利用いただけるよう自動アップデートを提供させていただいており、お客様側でのアップデートはできない仕様とさせて頂いております。

と宣告しているのが潔い。

だいたいこのくだりは「お客様側でのアップデートを強くお勧めします」とかなんとかあいまいにするケースが多いです。特にメジャーアップデートは動作に影響があることがあるので、強制的にやって客からクレームがつくことを危惧してと思われます。

そのメジャーアップデートに関しては、以下のように記載されてます。

> ↓ WordPressから新しいメジャーアップデートの提供開始

> ↓ ユーザー様へ安定したサービスを提供できるよう入念な検証を実施

> ↓ 問題ないことが確認され次第、自動アップデート実施予定日をコントロールパネルで

お客様へ告知

> ↓ 実施予定日に自動アップデート

「ユーザー様へ安定したサービスを提供できるよう入念な検証を実施」というのがグッと来ます。実際何をどうやってくれるのかは知りませんが...。

ここのサービスは900円/月、WordPress1個、容量10GBを基本に、ディスクやWordPressを買い足していくスタイルです。ひとつ気になるのが「サイト訪問者数30,000人まで」が標準で、超過分は1000人ごとに月100円で買い足していくというくだり。「サイト訪問者」というのは、24時間区切りのユニークユーザーということらしいです。

GoogleAnaryticsのようなUUではないし、ちょっと計算しにくいですね。セッション数よりも同日訪問の分だけ少し少ない、という感じでしょうか。

仮に60万PVのサイトで平均閲覧数が4ページなら15万セッション。そこから同日訪問分として仮に3割ちょい減らしたら約10万PV。計算めんどくさい。。

これがここで言う訪問者数なので、7万人分を追加が必要で7,000円アップの7900円。訪問者数追加というからにはアクセスが増えても表示は安定しているはずで、60万PVのサイトでこれならまあ文句はないでしょう。

(5)ワードプレス最適化サービス

ここも見つけたんですが、貧弱なLPが1枚あるだけで、まともな情報提供がされてない。。

こんなんで加入する人がいるのだろうか。。

よって、調査外とします。

まとめ:どんな利用にどのサービスが向いているか

以上4つのサービスを調べてきましたが、情報を見る限りそれなりにWordPressに最適化した特長を持っており、利用する価値はあると思います。その際に、規模や運用にあわせて適したものを選ぶのが正解でしょう。

WordPressで小規模なサイトを立ち上げるなら

複数立ち上げる→WPXレンタルサーバー

ひとつでいい→Sova WP(フリー版)か、フリー版ではいざという時怖い人はWPXクラウド

セキュリティ、運用重視でそこそこのサイトを構築するなら

Sova WP(ただし独自ドメインは一個のみ)

GMO WP Cloud(訪問者数がちょっと気になる)

というところではないかと思います。

ただオウンドメディアを含めメディアサイトの場合は、ステージング機能は本当に捨てがたい機能です。それを求めるなら、現状ではGMO WP Cloudしかなさそうです。

それにしても、サーバの解説記事ってアフィリばっかりなので、どれを信じていいのか困りますよね。

少しでもお役に立てば幸いです。

※実際に使用したわけではないので、間違い等ございましたらご指摘くださいね。