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讃岐うどんの名店は、実はブランディングの達人だった。

プロデューサーの岩田です。私は、お昼に近いからとコンビニや適当にそのへんの店に行くのがダメなタチです。もちろんNHKのサラメシも大好きです。

地道に新規開拓しては気に入った店を見つけ、それをローテーションしております。神保町界隈は探しがいのある街だし、楽しいですよ。

会社を引っ越してもう8年くらい経ちますが、週一で必ず行くのが靖国通りをお茶の水小学校方面に少し入ったところにある、讃岐うどんの名店「丸香」。

もちろんお昼時は長蛇の列。2時過ぎても、いや3時過ぎてもまだまだ並んでるのが毎度のことです。超人気店だから、もう知ってる人も多いはず...ですが、マスコミで取り上げられたりするのは好きでないらしく、あまり露出はしていません(ちなみに店内は写真撮影も禁止。私もこの外観だけパチリ)。

IMG_0873.jpg

※と思ったら、ロケットニュースでさんざん写真入りで紹介していた。図太い...。

>【食べログ☆4以上の店】人生初の衝撃なめらか讃岐うどんに香川移住が頭をよぎった 神保町『うどん 丸香』

かくいう私は、このお店をなぜだかとっても大切な存在に感じているらしい。

近くのもうひとつの「丸」で食べてる人を見ると「あっちで食べればいいのに。。」などと思ったりする。とんだおせっかいである。夏休みや正月休みを豪快に2週間取ってる時は「そうだよな。たまにはゆっくり休めばいいよな」と勝手に納得する。単なるうどん屋に、なぜ自分はそこまで共感を持ってしまうのか?

とりあえず一番最初に思い当たるのは「文句なくすばらしい商品力」。

これまで香川讃岐うどんツアーに3回くらい出かけ、名店と言われるお店を15件や20件は食べ歩いてますが、それらと比べて麺もダシもまったくひけをとらないです。トッピングや讃岐うどんに欠かせない天ぷらは勝ってると思います(若干の価格差は横におく)。

ツヤツヤでもの凄く腰のある麺と味わい深いいりこダシ、きちんと下味をつけた野菜や鶏肉、ゲソなどの天ぷら。店内で思わず「うめぇ!」と叫んでいる人も珍しくない。そして釜たまや釜揚げ、夏はぶっかけ冬はカレーうどんなどのバリエーション。かけうどん400円からという価格設定。まあ文句のつけようがないです。

それだけでも人は並ぶ。でもこの店は、並ぶのもそんなに苦ではないのが実は大きなポイントだ。なぜなら20人30人並んで、見た目ウンザリしても、10分もすれば美味しいうどんにありつけることが多いのです。

うどんだけに客の回転が速い。しかも席に案内され、座るやいなやできたてのうどんが出てくるのだ。ほんと手際がいいよな〜といつも感心するが、よくよく見てみたら事はそんなに簡単なことではないのがわかる。

アルバイトのお姉さんたちが行列を回って注文を取り伝票に書くのだけれど、生産力とのバランスなのか?一定までくるとぴたりと止めます。これはOAO(Oder Ammount Optimization=注文数最適化)かもしれません(笑)。

そして伝票は厨房近くに貼られ、順番にうどんが作られていく。が、この時点では客がどこに座るかわかっていないのです。普通は注文の入った伝票は必ず席と紐付いていて、伝票を見て運ばれますよね。にもかかわらず、案内されてすぐうどんが出てくる。

つまり、

席を案内した瞬間に席番が伝えられる→該当する伝票に書かれる→それを見てすぐ出す

ということになります。普通よりも相当面倒くさい。

しかもこの方法だと席番が間違えて伝わり、他の席の注文を間違えて出してしまうリスクが高まるはずです。伝票の方に名前や人相が書かれているわけではないから、並べた順番だけが頼りか?それなのに私の場合、何年も通ってて注文が間違って出て来たのは1回だけと記憶してます。そこまで精度が高いのは、スムーズなサービスを確実にするため、店主が従業員と練り上げてきた工夫があるのでしょう。

やってることは、いたってシンプル。とびきり美味しいうどんを安く、出来るだけ待たせずに供する。それには労を惜しまない。これだけ。余計なことは一切しないが、必要なところだけはだれにも負けないものを提供してくれている。どうもこれが私を深く満足させてくれているようです。メディアには出なくともりっぱなブランディングになっているというわけ。

どんなに不況になろうが、ライバル店が現れようが、2週間休もうが、BGMが1年中ジミヘンだろうが(店主の趣味だろうか?これだけは謎)何の問題もなく常に行列店でありつづけるでしょう。最強のマーケティングだなあ。